第214章

だが、斉藤剛は彼女を直接送り届けることはせず、昼食に連れ出した。真っ昼間から手伝いに駆り出しておいて、腹を空かせたまま帰すような真似はできなかったのだ。

桜井有菜が電話をかけたとき、紫はちょうど斉藤剛とラーメン屋で麺をすすっているところだった。

「有菜お姉ちゃん、今ね、斉藤さんとラーメン食べてるの! 後で送ってくれるって!」

電話の向こうで桜井有菜は頷いた。斉藤剛と一緒なら、安全面での心配は無用だ。

ただ、隣で紫から「斉藤さん、斉藤さん」と連呼される斉藤剛本人は、どうにも居心地が悪かった。

「呼び方を変えろ。高木のことは兄ちゃんと呼ぶのに、俺はダメなのか?」

頬を膨らませて麺を頬...

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