第217章

紫に大きな目をぱちぱちとさせて見つめられ、斉藤剛は無意識に頷いていた。

「もちろんいいとも。行こうか」

紫の顔はぱっと花が咲いたように明るくなる。子供の考えることなどたかが知れている。美味しいものが食べたい、ただそれだけなのだ。斉藤剛が高木に視線を送ると、彼は慌ててメインコンソールを引き継いだ。そして、そのあまりにも完璧なファイアウォールを目にして、思わず感嘆の声を漏らした。

「なんてこった。完璧すぎる。紫、君は天才か!」

大喜びで部屋を飛び出していく紫の背中を、斉藤剛はゆっくりと追う。世間知らずなごく普通の少女が、あれほど苛烈なサイバー攻撃を涼しい顔で捌き切ったのだ。斉藤剛自身、い...

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