第220章

 桜井有菜はデスクに突っ伏し、全身の気力を根こそぎ奪われたような疲労感に苛まれていた。

 次の瞬間、執務室のドアが押し開かれ、思いもよらない人物が姿を現した。

「藤宮さん、どうしてここに?」

 藤宮弘也は成田望の問いかけを一瞥もせず、デスクに突っ伏す顔面蒼白の桜井有菜に真っ直ぐ視線を向けた。大股で歩み寄ると、有無を言わさず彼女を抱き上げる。

「家に連れて帰る。腹は減っていないか、何か食べるか」

 空腹のピークはとうに過ぎ去り、今の有菜はただ泥のように眠りたかった。

「ミルクティーが飲みたい。すごく飲みたい」

 甘えたような掠れ声を聞いて、藤宮弘也に拒む理由などあるはずがなかった...

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