第25章

放課後の自習が終わると、桜井有菜は自転車で帰る準備を始めた。自宅まではたった五分ほどの道のりだ。

「有菜ちゃんと一緒に住みたいなぁ」越前美也が溜息交じりに言った。

桜井有菜は彼女の長い髪を軽く撫でた。

「早く帰りなさいよ」

越前美也は頷くと、自家用車を見つけてそちらへ駆け寄っていった。桜井有菜は振り返って自転車で立ち去った。

団地の入り口に着いたところで、桜井有菜の携帯が鳴った。越前美也からだった。

「美也ちゃん?」

「桜井有菜、西郊倉庫よ。必ず来なさい!ハハハハ!それと、一人で来ること。警察に通報したら、彼女を殺すわよ!」

電話から聞こえる笑い声は背筋が凍るようなもので、桜...

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