第26章

病院の中で、医者は越前美也の怪我の手当てをしていた。顔の傷は消毒が必要で、縛られていたため、越前美也の腕と足首も擦り切れていて、治療が必要だった。

もともと可愛らしい少女だった越前美也の顔は、片側が赤く腫れ上がり、三筋の傷跡があって、見るも痛ましい状態だった。

薬を塗っている間に、越前美也は藤宮弘也に電話をかけた。

「おじさん、助けて!」

真夜中に電話を受けた藤宮弘也は眉間にしわを寄せた。

「話せ!」

「おじさん、今病院にいるの。お父さんとお母さんに電話して、今夜は旧家に泊まるから帰らないって伝えてもらえない?」

病院、それも真夜中——藤宮弘也の声は一瞬で冷たくなった。

「ど...

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