第3章

桜井有菜はそのままタクシーから降り、迷いなく立ち去った。その姿を見た秋田風は思わず感心してしまった。

「この桜井有菜さん、本当にカッコいいな!」

しかも美人ときている。秋田風は舌打ちしながら感嘆した。

「藤宮さん、この桜井さんの言っていたこと、本当なんですか?」

藤宮弘也は深い眼差しで遠くにいる少女を見つめ、わずかに口元を上げた。

「どう思う?」

こんな面白い娘は藤宮弘也も初めて出会ったが、彼の表情を見た秋田風は恐ろしさを隠せなかった。

「藤宮さん、まさかあの娘に目をつけたんじゃ?」

なんてこった、あの娘はまだ十八歳だぞ。

藤宮弘也は秋田風の言外の意味を察したようで、冷やや...

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