第37章

斉藤剛と渡辺誠治の二人は、こういう光景にはもう慣れていたが、桜井有菜の姿を見て、かなり意外そうな表情を浮かべた。

「この方は...?」

桜井有菜が若いのを見て、越前美也は急いで紹介した。

「私の師匠、桜井有菜です!」

「師匠」という呼び方に、桜井有菜は気まずそうに咳を二つほど払った。すると越前美也は彼らに桜井有菜の実績を語り始め、桜井有菜は本当に恥ずかしくなってきた。

そこへ藤宮弘也が焼き上がった串を持ってきて、越前美也の話を遮った。

「食事中でもその口は閉じないのか」そう言うと、越前美也は口を閉じ、藤宮弘也が焼いた串を見るや否や飛びついた。

「鳥焼き、鳥焼きは私の!」だが越前...

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