第40章

桜井美月の名前が出るたび、桜井有菜の顔には淡い笑みしか浮かばなかった。

ある人々は虚名にこだわるものだが、桜井有菜はそういったものに全く関心がなかった。人の価値は人々の称賛によって決まるものではなく、この世界にどれだけ貢献したかで決まるのだから。

桜井美月のキャラ崩壊は時間の問題だった。

夜の自習が終わり帰宅する時、やはり藤宮弘也が迎えに来ていた。藤宮弘也の言い分では、これは桜井有菜の安全を考えてのことであり、越前美也もこの頃は彼女と一緒に住んでいるので、桜井有菜もその理由をなんとか受け入れていた。

「この数日間、テスト疲れてない?夜食作ったから、帰ったらゆっくり食べようよ」桜井有菜...

ログインして続きを読む