第64章

 部屋中がどっと沸き、つられて桜井有菜も笑みをこぼした。食事が終わり、北村涼が会計を済ませようとしたが、野原お婆さんは頑として受け取らなかった。

「うちの三女様からお代をいただくなんてとんでもない。ここは三女様の家ですよ。自分の家に帰ってきてお金を払う理屈がどこにありますか」

 野原お婆さんのその慈愛に満ちた表情は、見る者すべての心を和ませる不思議な魅力があった。

 これで渡辺誠治たちは、桜井有菜に借りを作った形になった。だが、彼らは変に気取るような連中ではない。この借りは、いずれ必ず返すだろう。

「有菜ちゃん、今までで一番素敵な誕生日だった! ありがとう!」

 去り際、越前美也は...

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