第70章

「不可抗力」とはよく言ったものだ。チンピラの手首をへし折っておきながら、桜井有菜の身分はあくまで学生。校門の防犯カメラには相手からの挑発行為が鮮明に映っており、正当防衛が認められたのだ。結果、チンピラたちは留置場行きとなり、当の有菜は警察署から大手を振って出てきたのである。

 報せを受けた桜井城が車を降り、息を切らして駆け寄ってくる。

「大丈夫か? いじめられたりしなかったか」

 城の問いかけに、有菜は呆れたような、それでいて愉快そうな視線を返した。

「兄さん。私が誰だと思っているのですか? 私を傷つけられる人間などいませんよ。ご安心を。悪いのは彼らですから、法の下で相応の制裁を受け...

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