第97章

藤宮弘也たちが発ったのを見届けたカスクは、桜井有菜の様子を見に彼女の部屋を訪れた。しかし、ドアを開けてもそこに彼女の姿はない。ただ、テーブルの上に携帯電話が置かれたままになっていることに、カスクは微かな違和感を覚えた。

彼はすぐさま部屋を出て、ニックの部屋へと向かう。中にはニックが一人でいた。

「ニック、有菜ちゃんを見かけなかったか?」

ニックは首を横に振る。

「彼女なら、さっきここを出ていくと言って……自室に戻ったんじゃないのか?」

カスクの表情が凍りついた。胸の内に瞬時にして嫌な予感が広がる。

彼は脱兎のごとく駆け出し、基地の制御室へ飛び込んだ。モニターに監視カメラの映像を呼...

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