第104章:グレイス

呼吸を整える。しっかりして、グレース。あなたならできる。私はリースに教わった構えで腕を上げ、一歩前に踏み出した。攻めなければまたメイジーに負けてしまう。負けるのはもううんざりだった。

さらに二歩踏み込み、彼女の頭部の左側に隙を見つけて腕を振るった。手応えがあった。彼女が防御しようと動いた瞬間、私はもう片方の足で腹部に蹴りを入れる。

「いいぞ、グレース!」

部屋の反対側からリースの声が聞こえたが、私はそれを意識の外へ追いやった。次はどうすべきか指示するつもりだろうが、彼がいなくてもできる。私一人でやれるんだ。

しかし、メイジーの立ち直りは早かった。私は一歩後退し、わずかによろめいてしまう...

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