第105章:リース

グレースはジムから病院へ向かって、俺をほとんど引きずるようにして連れ出した。彼女がソーヤーを早く退院させたがっているのは知っていたが、まさか今この瞬間に連れ戻すと、これほど頑なに主張するとは思わなかった。なにしろ、俺たちはもう二週間も彼の病室を拠点に仕事をしていたのだ。俺も、仕事道具一式を持ち歩いたり、何か忘れるたびにオフィスへ走ったりするのは、そろそろ限界だった。

ソーヤー、グレース、レオン、そして俺の四人で、多くのことにおいてかなりの進展があった。レッドブラッド・パックとの接触を完全に断つことにも成功した。俺たちがコントロールできる限り、彼らにはこちらの情報は一切漏れていない。セキュリテ...

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