第114章:グレイス

私はリースと共に、寒空の下に立っていた。昨晩よりは暖かいはずだが、風がパーカーを突き抜けてくるせいで、まるで裸でいるような気分だった。

ここに来るまでの支度には時間がかかった。リースが私の体を愛で、昨日の激しい「運動」で凝り固まった筋肉を丹念にほぐしてくれたからだ。

私が自然と一体になれば、内なるライカンが目覚めやすくなる――リースはそう確信していた。胸の奥に感じるざわめきが、ライカンの気配なのか、それともこれからやろうとしていることへの不安なのかは定かではない。だが、何かがそこにあるのは確かだった。

「で、具体的にここで何をすればいいの?」私は寒さをしのごうと自分の体を抱きしめながら尋...

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