第117章:リース

数分が経過した。グレースの全身の筋肉は強張っている。彼女は決して声を上げなかったが、その爪は俺の肌に食い込んでいた。

サンドラは呪文を唱えながら、ムーンストーンのナイフでグレースの体に『絵』を描いていた。言葉通り、皮膚は切れていない。描かれた図形はすぐに消えていく。すでに二時間を優に超えており、グレースは意識を失う寸前で、かろうじて持ちこたえている状態だった。彼女が全身全霊で耐えているのが伝わってくる。幸運なことに、俺が彼女を押さえつける必要はなかった。もしそんなことをしなければならなかったら、俺はこの儀式を最後まで見届けられなかったかもしれない。

サンドラがグレースのドレスを引き裂き、胸...

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