第151章:リース

最悪の事態だ。グレースは俺の首に腕を回し、可能な限り身を低くしてしがみついている。俺の中の狼は、彼女を危険にさらしたことで俺を激しく罵っていたが、彼女が家で大人しく待っているはずがないことは分かっていた。あの「パック・ラン」の夜の後ではなおさらだ。ケイトとソーヤーが俺の脇を固め、名前も知らない兵士と共にヘザーが先頭を走り、さらに二人が殿(しんがり)を守っている。出発時はもっと数がいたはずだが、彼らが生きてるのか死んでるのか、俺には確信が持てなかった。だが、ここから生きて出られただけでも幸運だったと言えるだろう。

背後から地響きが聞こえる。クソッ、奴らすぐ後ろまで迫っていやがる。俺はさらに脚に...

ログインして続きを読む