第152話:グレイス

リースは私たちの部屋へと続く階段を、ゆっくりと上っていた。彼が疲れ切っているのは分かっていた。私自身もそうだったから。だが、彼はただ疲れているだけではない。深い悲嘆に暮れていた。今日、彼は弟と親友を同時に失ったのだ。二人が生きているのか、それとも大地が彼らを早すぎる墓穴へと飲み込んでしまったのか、誰にも分からない。かけるべき言葉など、何一つ見つからなかった。彼はアルファ・キングだ。平気なふりをするだろうが、その心が傷ついていることを私は痛いほど知っていた。

アルファ専用フロアの混沌ぶりは、いつも以上にひどかった。群れが厳戒態勢にあるとはいえ、この子供たちは常にこのフロアにいるため、状況自体は...

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