第156章:恵み

絆を通して驚きの感情が流れ込んできて、私は困惑しながらリースを見つめた。ソーヤーの質問に対して、彼は愕然とした表情を浮かべていたが、私にはその理由がいまいち掴めなかった。それはもっともな質問だったし、状況を考えれば、私だって知りたいことだったからだ。

「彼、酔ってるの」私はソーヤーに告げた。

「酔ってるだと?」ソーヤーが怒りを滲ませて低い声で言った。

「ええ」私はわざと明るく、軽い調子で答えた。

「一体どういうつもりだ、リース! 弟が行方不明なんだぞ!」

「たぶん死んでるさ」リースは苦々しく答え、その口調に私は驚かされた。「目が覚めたら、グレースがサミーと眠っていたんだ。だから仕事を...

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