第203章:リース

「失礼します、すぐに戻りますわ。少し何か食べるものを取ってきますね」グレースはそう言って席を立った。

俺は彼女の背中を見送ったが、グループの他の連中は彼女がいなくなったことに気づきもしないようだった。一瞬、後を追うべきか迷ったが、おそらく彼女には一息つく時間が必要なのだろうと思い直した。彼女が俺の群れ(パック)に来てからというもの、俺たちはかつてないほど社交的に過ごしていたし、グレースは根っからの社交家というタイプではなかったからだ。

ルナがすぐに彼女に近づいていくのが見え、俺は眉をひそめた。心の大半は、ルナが何を言おうとしているにせよ、そこへ割って入ってグレースを救い出したいと叫んでいた...

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