第219章:リース

目覚めた瞬間、俺は反射的に番(つがい)を求めて手を伸ばしたが、そこに彼女はいなかった。ベッドの彼女側は空っぽで、隅っこでサミーが猫のように丸まって寝ているだけだった。なぜあんな格好で寝ているのかよく分からなかったが、深く考える気にはなれなかった。グレースをあの恐ろしい場所に残して戻ってきたことを思い出し、胸が押し潰されそうなほどの悲しみに襲われた。彼女は二度とここには戻れないと確信しているようだったが、俺の脳裏からは、あの傷だらけで打ちのめされた彼女の姿が離れそうになかった。彼女を置いてきた自分自身が、どうしようもなく憎かった。

グレースを救うための配置につくには、四十八時間の猶予しかなかっ...

ログインして続きを読む