第22章:恵み

彼の約束には驚かされたが、私は何も言わなかった。アルファ・キングの力に、私が敵うはずもない。

「心配するな」彼は口の端を上げてニヤリと笑った。「力加減ならできるさ、グレース。お前を傷つけたりはしない」

私は無意識に、腹部にある傷跡に触れていた。私の体が、必要とされる動きについていける日が来るのだろうか? まともに治癒さえしなかった体だ。以前も自分の身を守ることなどできなかったし、訓練を受けたところで、できるようになるとは思えなかった。

「痛むのか?」アルファ・キングであるリース様が眉をひそめて尋ねた。彼の視線は、腹部の大きな傷跡に触れている私の手に注がれていた。

私は首を横に振って否定...

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