第230章:カレブ

少女の背中を押し、木立の境界線を越えさせたところで、俺は周囲を見回した。レオンやグレースの気配はない。引き返して彼らを探すべきか迷った。だが、あの牢獄にいた全員、総勢三十二名は解放され、ここまで辿り着いていた。リース配下の者たちが手を貸し、走らせているのが見える。彼らの多くは、暖を取るために獣の姿へ変化することさえできない状態だった。少なくとも、今はまだ。衰弱しきっているうえに、数度の食事を抜く余裕などなかったのだから、それも無理はない。クソッ、なんてざまだ。彼らは可能な限り身を寄せ合い、集団で移動することを選んでいた。俺は何度も先行して目印をつけ、そこまで全員が到達したか確認するために戻り、...

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