第236章:リース

グレースは長いこと熱いシャワーを浴びていた。俺は一緒に入りたいという本能的な衝動を必死に抑え込んだが、それはまた後のお楽しみだ。部屋は俺が慣れ親しんだものより狭く、バスルームも同様だった。二人で入ったら窮屈で仕方なかっただろう。これが「ゴールデン・パック」の提供する宿舎だというのは驚きだったが、当面はこれで十分だ。もっと酷い場所に泊まることだってあり得たのだから。少なくとも、野宿をするわけではないのだし。

ようやくグレースがバスルームから出てくると、俺は彼女の姿をじっくりと観察した。目の下には濃い隈ができ、顔色は青白い。腕にはまだ痛々しい新しい傷跡があり、数え切れないほどのあざが残っていた。...

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