第25章:リース

即座にケイレブを拘束していた手を離し、俺は上体を起こした。俺が見たものに気づいたレオンがすぐに飛び込み、金切り声を上げて暴れるケイレブを押さえつける。視界の隅で、誰かがレオンの加勢に動くのが見えた。驚いたことに、この騒ぎを見物しようとかなりの数の野次馬が集まっていたが、俺の目はただ一人だけを追っていた。感情を制御できなくなった自分が憎かった。よりにもよって、彼女の前で理性を失ってしまったことが何よりも許せなかった。

俺は素早く服の乱れをただし、髪を手でかき上げた。グレースのために、できる限り冷静な姿を見せなければならない。グレースは扉の枠に身を寄せ、できるだけ体を小さくして縮こまっていた。そ...

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