第260章:リース

ついに、この日がやって来た。俺の番(つがい)と結婚するかもしれない日、あるいは彼女を失う危険を冒す日だ。そして昨夜、俺たちが過ごしたあの素晴らしい夜を思えば、後者になるという確信めいたものがあった。俺は彼女に計画を思いとどまるよう説得を試みたが、彼女は聞く耳を持たなかった。ただ「これが必要なことなの」と繰り返し、彼女の目にはそれしか道がないと映っていた。そして正直に言えば……俺たちには確かに「内通者」が必要だった。「レッド・ブラッド」の群れを奇襲しようとする俺の試みは、ことごとく失敗に終わっていたからだ。俺たちの主な情報源は、かつて拷問を伴う「プログラム」にいた子供たちと、文字通り屋敷から一歩...

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