第27章:恵み

アルファ・キングは夕食に行くようにと言ってくれたけれど、3階での弟とのあの対決を見た後では、お腹なんて少しも空かなかった。彼らが争う場面に出くわしてしまい、その瞬間に感じた恐怖があまりに大きすぎたのだ。自分に向けられる暴力には慣れていたけれど、それを目の当たりにしつつ、自分は部外者であるという状況は、同じくらい恐ろしかった。アルファ・キングの怒りの矛先が私に向くのではないか、そして彼自身が傷つくのではないかと思い、私はただただ怯えていた。

私は考えに没頭していて、自分がどこに向かっているのかさえ気に留めていなかった。手に入れたばかりの自由が裏目に出たのか、気がつくと1階の医務室の近くにいた。...

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