第283話グレイス

アラナが「待機室」と呼び続けているその小部屋に、私たちは集まっていた。私にはその響きがいささか牢獄めいて聞こえたが、そこは私たちがこれから歩むことになる道へと続く場所だった。冬に屋外で結婚式を挙げることには少し不安もあったけれど、ライカンや人狼たちにとっては大した問題ではない。それに、リースが悪天候の中を駆けつけてくれる少数の人間たちのために、十分な数の暖房器具を用意してくれていた。彼らは、私たちが彼らを救い、街で続いていた終わりのない誘拐事件を食い止めたことに深く感謝していた。今や彼らは恐怖なしに暮らせるのだ。

一時間ほど前から雪が降り始めていた。私は密かに胸を躍らせていた。ずっと雪が大好...

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