第40章:恵み

背中が壁にぶつかった瞬間、私は覚悟を決めた。彼の手が私を壁に縫い止め、興奮と期待で息が詰まる。私はこれが必要だった。彼を求めていた。たとえ、それが許されないことだと分かっていても。悪い考えだとしても。本当に、最悪の考えだとしても。

それでも、彼の唇が私の唇に重なった。抗うことのできない優しいキス。だが、その優しさは長くは続かなかった。彼は口づけを深め、二人の間の切迫感が増していく。私は手を伸ばして彼をさらに引き寄せ、その髪に指を絡ませた。どれだけ近づいても足りない。もっと近くに。彼の手が私の脇腹を這い上がり、背筋に震えが走る。今、この瞬間のためなら、この男に捧げられないものなど何一つなかった...

ログインして続きを読む