第45章:リース

俺の宣言に対し、グレースは何も言わず黙りこくっていた。手は体の横に下ろされたままだ。彼女が混乱しているのは見て取れたし、考える時間を与えると約束したはずだが、それを実行するのは予想以上に困難だった。

俺は机の上のファイルを開き、仕事をするふりをしてみたが、俺自身の頭の中もぐちゃぐちゃだった。彼女は、俺の「本質」ではなく、俺だと思い込んでいる「虚像」を理由に拒絶するつもりだろうか? 以前の花嫁たちがなぜうまくいかなかったのか、彼女は知らない。俺の冷酷さについての噂しか聞いていないのだ。だが、俺は公平な王だ。そして、彼女に狂おしいほど惚れている。世間が見ている俺ではなく、俺という人間の可能性を見...

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