第51章:恵み

「頼むよ、グレース」イーサンは促すように言った。「あのパックのすべてがおかしいと思わないか? ルナの死を君のせいにされたのに、裁判もなければ、真実を明らかにする機会すら与えられなかった。何が起きたのか知りたいと思わないか? 君に対する数々の不当な扱いへの正義を求めたいとは? 自身の無実を証明し、本来あるべきものを――」

「そこまでだ!」私の番(つがい)が怒りを込めて遮った。「貴様は、住んでいた記憶すらないパックの支配権を取り戻させるためにここにいるわけではない。彼女を操るためでもない。貴様はただ質問に答えるためだけにここにいるのであって、自分の目的を押し付けるためではない!」

居心地の悪さ...

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