第56章:恵み

私たちは無言で、これまで見たこともない小道を歩いていた。とはいえ、私は診療所に行く以外で屋敷を出ることがめったになかったので、そう言うほどのことでもないのだが……それでも少し不安だった。特に、アリソンが木の陰から飛び出してきて私を殺そうとするんじゃないか、という考えが頭から離れなかったからだ。

一方で、リースは心配している様子もなかった。むしろ、まったく逆に見えた。彼の中ではさっきまでの会話はもう終わったことになっているようだったが、私にはまだたくさんの疑問や考えが渦巻いていた。私はただ、すべてを処理しようとしていただけなのに。彼にとっては私たちが理解し合えたように見えているのかもしれないが...

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