第66章:恵み

ソーヤーと共にオフィスを出ると、私はまっすぐに自分の部屋へと戻った。「外の世界」へ出かけるのなら、手持ちの中でもとっておきの可愛い服に着替えて、髪も綺麗にセットしたかったのだ。外見など大した問題ではないとは分かっていたが、今の私はアルファ・キングの伴侶だ。初めての本格的な外出で、うっかり彼に恥をかかせるようなことだけはしたくなかった。

私の支度が整うまで根気よく待っていてくれたソーヤーに連れられ、アーロが待つ車へと向かった。車という乗り物にはまだ少し恐怖を感じてしまうけれど、身の危険がある場所へ行くわけではない。リースがそんなことを許すはずがないのだから。そう自分に言い聞かせ、私は呼吸を整え...

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