第73章:リース

レオンと俺は、無言のままパックハウスへと歩いて戻った。執務室の外で何かを計画するのはあまり好きではないが、もしあのまま庭に出ていなければ、とっくに眠りこけていただろう。

「いろいろあったけど、グレースは大丈夫かい?」

しばらく別行動になる階段のところで、レオンが尋ねてきた。

「いや……正直、そうとは言えないな。あれでも精一杯気丈に振る舞っているんだ。だが、一晩ぐっすり眠れば、今日は少し気分も晴れるだろうと期待している。彼女は、もし自分がライカンだったら俺に拒絶されるんじゃないかと怯えているんだ。だが、彼女の封印が解けて実際にライカンになるまでは、俺がそんなこと気にしないと証明する手立てが...

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