第75章:恵み

リースに手を引かれ、私たちは集会所のホールを抜け、小さなステージへと上がった。自信なんてこれっぽっちもなかったけれど、私は必死に胸を張って歩くふりをした。リースはこの状況でも私が顔を上げていることを望んでいる。だから彼を失望させないよう、全力を尽くすつもりだ。

ソーヤーが最前列の脇に、けれど私の肌に気配が伝わるほどの距離に立ってくれたのを見て、私は安堵のため息をついた。今夜ここで何が起きようとも、味方が一人いてくれると思うだけで心強かった。

「皆さん、こんばんは!」

リースの声が開会を告げると、すべての視線が彼に注がれた。

「これほど急な呼び出しにもかかわらず、多くの方が集まってくれた...

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