第89話恵み

リースが私を絶頂へと導いた瞬間、すべてが色褪せた。痛みは消え去り、感情の波も静まり、ただ純粋な至福だけが残った。これまでの人生でこんな風に感じた瞬間はほとんどなかったけれど、リースはそれを何度も何度も与えてくれる。

「気分はどうだ?」

リースは私の脇腹を優しく撫で上げながら尋ねた。

「『完璧』なんて言葉じゃ、今の気持ちを表すには足りないくらいよ」私は正直に答えた。「目が覚めたときはなんだか変な気分だったし、その後も……よくわからないけど、今日はありとあらゆる感情を味わった気がする。でも今は、すごく満たされてる。自分がいるべき場所にちゃんといる、って感じ」

「そう感じてくれて嬉しいよ」リ...

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