第6章
翔太視点
氷点下十度の鳴海市の吹雪は、ただ凍えるように寒いだけではなかった。氷混じりのみぞれが、まるで砕けたガラスの破片のように俺の顔に叩きつけてきた。
一時間前、彼女に電話を一方的に切られた直後、俺は警備員たちに引きずり出された。そして今、凍てつく鳴海市の歩道に立ち、神崎グループ本社の最上階に灯る明かりを見上げていた。
彼女はあの場所にいる。そして、共に這いつくばって生きてきたあの歳月は、彼女にとってまったく無意味なものだと言い放ったのだ。ただのゴミだと。
俺は感覚のない両手をこすり合わせ、コートのポケットから欠けた真鍮のトロフィーを取り出した。彼女がこれを見てくれさえすれ...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
縮小
拡大
