第7章

絵梨奈視点

 オークショニアの木槌が、スポットライトの熱い閃光の中で振り上げられたまま止まっていた。それは、神崎家主催のチャリティ・ガラにおける、グランドフィナーレの瞬間だった。

 ステージ上では、数千万は下らないピンクダイヤモンドが目を射るような光の破片を放っていたが、私にとっては全くどうでもいいことだった。フルートグラスに残った最後の一口のシャンパンを揺らしながら、私はただ、この退屈な入札合戦が終わり、ようやくこの場から立ち去れるようになるのを待っていたのだ。

 バンッ。

 重厚なマホガニーの観音開きのドアが、乱暴に押し開かれた。鳴海市の氷点下の猛吹雪が、暴力的な突風となって、金...

ログインして続きを読む