第2章

井上結衣視点

両親が私に追いついたのは、結婚式場の入り口近くだった。母のマスカラは頬を伝って流れ落ち、父は今にも誰かを殺しそうな形相だった。

「結衣、待って――」母が私の腕を掴んだ。

「家に帰るよ、お母さん」私の声は平坦だった。「ただ家に帰りたいの」

「一緒に行く」と父が言った。顔を怒りで赤く染めている。「このことについて話さないと。あのろくでなしとその家族は――」

「いいえ」私は母の手を握り返した。「今はただ、一人になりたいの。お願い」

母は私を抱きしめ、その体が震えているのが分かった。「説明させるわ、結衣。約束する。山崎家には、この落とし前をきっちりつけてもらうから」

「とにかく家に帰って休め」父が付け加えた。その声は固い。「あとは俺たちがすべて何とかする。俺たちが元に戻してやる」

私は母の肩に顔をうずめたまま頷いた。口を開いたら、まともな声が出そうになかったから。それから身を離し、安心させるつもりの笑みを浮かべてみせると、美佳ちゃんの小さな手を引きながら自分の車へと向かった。

マンションのドアがカチャリと閉まると、美佳ちゃんはすぐに私を通り過ぎ、まるで千回もここに来たことがあるかのように、まっすぐ風呂場へ向かった。

私はウェディングドレス姿のまま、まだスマートフォンを握りしめてそこに立っていた。泥だらけのピンクのドレスを着たこの小さな女の子が、何の躊躇もなく私の家の中を動き回るのを見ていた。彼女はあたりを見回すことも、何がどこにあるか尋ねることもない。ただ風呂場のドアを押し開け、洗面台の下の棚に直行した。

私がタオルをしまっている、あの棚だ。

彼女は清潔な白いタオルを一枚引き出し、ごく自然に、それが自分の日課であるかのように手と顔を洗い始めた。

……ありえない、何なのよ、一体。

「美佳ちゃん。どうしてタオルの場所が分かったの?」

彼女は鏡越しに私を見上げた。顎から水滴がしたたり落ちている。一瞬、驚きのようなものがその顔をよぎった。だが、すぐに消えた。

「当てたの」と彼女は言った。

「当てた、ね」私はドアの枠に寄りかかり、腕を組んだ。「私がタオルを、あの特定の棚にしまってるってことを」

「うん」彼女はタオルを丁寧にもとの場所に戻した。寸分違わず、あるべき場所へ。「ラッキーだった」

一瞬たりとも信じられなかった。でも、今この状況に対処するには疲れすぎていた。

彼女は私を通り過ぎてキッチンに入っていく。他にどうしようもないので、私は後を追った。彼女はコーヒーメーカーの上の棚にまっすぐ向かい、つま先立ちになって、カップを一つ取り出した。

ただのカップじゃない。私のカップだ。大学二年の時からずっと使っている、毎朝必ず使うあのミッキーマウスのカップ。

胃がひやりとした。

「美佳ちゃん、やめて」私は彼女の方へ歩み寄った。「慎二が前にあなたをここに連れてきたことがあるの? だから全部の場所が分かるの?」

彼女は首を横に振り、カップに水を注いだ。「ううん。パパとここに来たことはないよ」

「じゃあ、どうして――」

「言ったでしょ。私は未来から来たの」彼女は一口飲むと、その大きな茶色い瞳で、カップの縁越しに私を見た。「いろんなことを知ってるの」

もっと問い詰めるべきだった。本当の答えを要求すべきだった。でも、三ヶ月もかけて選んだこの馬鹿げたウェディングドレスを着て、この子がお気に入りのカップで水を飲むのを見ていると、もう無理だった。何もかも、もううんざりだった。今日という一日に、心底疲れ果てていた。

私は寝室へ行き、スウェットパンツと古びたTシャツに着替えた。戻ってくると、美佳ちゃんはソファに腰掛け、足をぶらぶらさせながら、まだあのミッキーマウスのカップを手にしていた。

私は彼女の向かいに座った。私たちの間のテーブルが、まるで交渉の席のように感じられた。

「美佳ちゃん、本当のことを教えてほしいの」私は声を落ち着かせようと努めた。「あなたは本当に、慎二と由実さんの娘なの?」

「うん」

「でも、二人が別れたのは七年前よ。慎二は子供のことなんて一言も言わなかった。この二年間、一度も」

「それは、おばあちゃんがママに出て行けって言ったから」美佳ちゃんはカップを握る手に力を込めた。「脅したんだって。いなくならなきゃ、ママの家族をめちゃくちゃにするって。だからママは出て行って、パパはママが妊娠してたこと、ずっと知らなかったの」

慎二のお母さん。あの冷徹で計算高い女性。……ああ、あの人ならやりかねない。きっと慎二を守るためだとか、金持ちが自分に言い聞かせるような、家名を残すためだとかいうくだらない理由で自分を納得させたのだろう。

「じゃあ、あなたはずっとどこにいたの? 由実さんはどこに?」

「全部は話せない」美佳ちゃんは視線をそらした。初めて、彼女が怯えた子供のように見えた。「話せないことがあるの……。話しすぎると、未来が変わっちゃうかもしれないから」

「何が変わるの?」

「未来が」

またそれだ。未来の話。彼女はそれが事実であるかのように言い続ける。

「美佳ちゃん。結婚式場で何を言うか、誰かに教えられたんでしょう。誰に送り込まれたの?」

「誰も送ってなんかない!」今度は彼女の声に苛立ちが、ほとんど怒りに近いものが混じっていた。「私が自分で来たの。来なくちゃいけなかったから。だって……」彼女は口をつぐみ、傷つけてしまうのではないかと心配になるほど強く唇を噛んだ。「……だって、大事なことだったから」

私は彼女の顔をじっと見つめた。慎二との類似点は明らかだった。同じ茶色い瞳、同じえくぼのある顎、考え事をするときの眉の寄せ方までそっくりだ。でも、何か別のものがある。言葉にできない何か。その表情を以前に見たことがあるような、奇妙な感覚。でも、それは慎二の顔ではなかった。

美佳ちゃんは、あくびをした。顎が外れそうなほど大きなあくびで、その姿は年相応の子供そのものだった。

「疲れたでしょう」と私は言った。「客間の準備をするわね」

彼女は文句も言わずに廊下を付いてきた。私はクローゼットから清潔なシーツを見つけ、彼女が見ている前でベッドメイキングをした。振り返ると、彼女はあの汚れたピンクのドレスを着たまま、そこに立っていた。小さく、途方に暮れた様子で、未来について講釈を垂れていた奇妙に大人びた子供とはまるで別人だった。

「子供服は持ってないの」と言ってから、当たり前のことじゃないかと馬鹿らしくなった。「でも、何か寝る時に着る清潔なものを見つけてあげる」

「これで大丈夫」と彼女は静かに言った。

「せめて洗わせて」私は彼女がドレスを脱ぐのを手伝った。彼女は体をくねらせてそれを脱ぎ、生地には本物の葉っぱまでくっついていた。私は自分のTシャツを一枚渡した。

彼女のドレスを洗濯機に持っていき、洗剤と一緒に放り込み、戻ってくると、彼女はもう布団の中にいた。

「快適?」と私は尋ねた。

「うん。ありがとう」

私はその場を離れるべきだった。自分の部屋へ行って、今日という日の大惨事を整理しようと試みるべきだった。だが代わりに、私はベッドの端に腰を下ろし、私の人生を破壊したこの子を見つめていた。

もっとも、そこに横たわる彼女はとても安らかに見えた。自分が巻き込まれたことの半分も理解していないであろう、ただの小さな女の子。

ポケットの中でスマートフォンが震えた。取り出して見ると、SNSの通知が表示されていた。

「山崎慎二さんが写真を投稿しました」

見るな。見る必要なんてない――

それでも、私は開いてしまった。

そこに彼がいた。慎二が。私の婚約者、夫になるはずだった人、私を永遠に愛してくれるはずだった男が、空港で、長い髪のゴージャスな女性を腕に抱いて立っていた。二人の指は、まるで一度も離れたことがなかったかのように絡み合っていた。彼は、この二年、一度だって私に向けたことのない眼差しで彼女を見ていた。彼女が彼の世界のすべてであるかのように。

キャプションにはこうあった。「七年経っても、やっぱり君だ。臆病でごめん」

手がひどく震え、スマートフォンを落としそうになった。

これが由実。これが、彼が私を捨てて選んだ女。彼がこのクソみたいな時間ずっと愛し続けていた女。

「つまり、私はそういうことだったんだ」私は囁いた。「穴埋め。彼女が戻ってくるのを待つ間の、暇つぶし」

二年。私の人生の二年。彼のために仕事を辞め、B市を離れ、友達と別れ、すべてを捨てた。彼がここで人生を築こうと言ったから、T市に引っ越してきた。そして、その間ずっと、私はただの……無価値な存在だった。気晴らし。彼の本当の愛が戻ってくるまでの、時間つぶしの相手。

涙が熱く、次から次へと溢れ出た。美佳ちゃんを起こさないように、静かにしようとした。でも、止められなかった。結婚式場からずっと堪えていたすべてが――百人の前で彼に逃げられるという屈辱、裏切り、自分が最初から何の意味も持っていなかったと悟った時の、胸が張り裂けるような痛みが、一度に崩れ落ちてきた。

小さくて温かい何かが、私の手に触れた。

美佳ちゃんが目を覚まし、ベッドサイドテーブルからティッシュを差し出していた。

「泣かないで」と彼女はそっと言った。

私はティッシュを受け取り、笑おうとした。「ごめん。起こすつもりじゃなかったの」

しかし美佳ちゃんは起き上がると私の顔に手を伸ばし、その小さな優しい手で涙を拭ってくれた。彼女の瞳には、私には読み取れない何かがあった。まるで罪悪感のようなもの。意味が分からなかった。

「おばさん」と彼女は言った。「私のパパとママは、すごく愛し合ってるの。ずっと愛し合ってたの」

「ええ」私はかろうじて言った。「分かってきたわ」

「彼は一度あなたを捨てた」美佳ちゃんの手が私の手を握った。その握力は驚くほど強かった。「彼はまた同じことをする。何度も、何度も。祭壇で背を向けて歩き去れるような人は、いつだって歩き去る人なの。分かる?」

私は彼女を凝視した。その言葉は、子供が言うようなものには聞こえなかった。

「彼のことは諦めるべきだよ」美佳ちゃんは続けた。その瞳は私に釘付けだった。「あなたはもっといい人にふさわしい。知ってる人みんなの前で、ウェディングドレスを着たまま一人で立たされることなんてない、そういう人に」

彼女は正しかった。ああ、まったくもってその通りだった。でも、それを声に出して聞かされること、私の心をズタズタに引き裂いた男によく似たこの小さな女の子から聞かされることは……。

もう、耐えられなかった。

私は美佳ちゃんを腕の中に引き寄せ、泣いた。四時間前に出会ったばかりの、私の結婚式を台無しにし、このすべての痛みを私の人生にもたらしたこの子が、ただ私を抱きしめ、私が完全に崩れ落ちるのを黙って受け止めてくれた。

「彼のことは諦めるわ」私はついに言った。声は彼女の肩にうずもれてくぐもっていた。「約束する。彼のことは、もう諦める」

「約束?」美佳ちゃんは身を引いて私を見た。彼女の頬も濡れていた。「本当に約束?」

「約束する」

彼女は、私が何か拘束力のある契約でも交わしたかのように頷くと、再び横になった。私は彼女が落ち着くのを手伝い、ブランケットを顎の下まで引き上げてあげた。

「おやすみ、美佳ちゃん」と私は囁いた。

「おやすみなさい」彼女はつぶやいた。もう眠りに落ちかけている。「泊めてくれてありがとう……」

その時、私は去るべきだった。自分のベッドへ行き、眠ろうと試みるべきだった。今日という日が悪い夢だったと、そう思おうとすべきだった。しかし私は、彼女のベッドの端に座ったまま、この不思議な小さな女の子の寝顔を見つめていた。

今の彼女は安らかに見えた。無垢だ。自分のせいではない大人の問題に巻き込まれた、ただの子供。

私は彼女の寝顔を見つめた。枕に広がる髪、左眉の近くにある小さな傷跡、規則正しい呼吸の上下。

彼女には何かがあった。何か……見覚えがあるような。でも、それは彼女が慎二に似ているからではなかった。

どうしてだろう。私はこの子を知っているような気がする。

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