第7章

井上結衣視点

「井上結衣様、

和解のご要望に基づき、支払いに関する書類を添付いたしました。また、山崎氏より、今月末に佐藤由実様と結婚される旨をお知らせするよう依頼されております。その際、ご息女である山崎美佳様の親権は、お二人が完全に引き継がれるとのことです」

文字が滲んで見えるまで、私はその言葉をただ見つめていた。

結婚。彼が、彼女と結婚する。

結婚式の当日に私を捨ててから、まだ二週間も経っていないのに。それなのに、彼はもう次の結婚式の計画を立てている。ずっと愛していたという、あの女と。

何かを感じるべきだった。怒り。痛み。裏切り。でも、ただ虚しいだけだった。

「おば...

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