第32章 枠は安菜にあげよう

有岡健太は、有岡里穂の実力ならどんなコンテストに出ても軽く1位を取れると思っていた。だが西川安菜にとっては、まさにそういう「足がかり」が必要なのも事実だ。

彼は慌ただしく階段を駆け下り、食卓へ急いだ。

「さっき里穂の部屋で、コンテストの申し込み結果の通知を見た」

「コンテスト?」コーヒーを持っていた有岡隼人の手が、ぴたりと止まる。「阿部グループがスポンサーの、ゴールドカップ数学コンテストか?」

有岡健太は頷く。

「たぶん。だけど隼人兄さん、安菜がゴールドカップで優勝したら、臨市第一高校に推薦で入れるんだよな?」

「……ああ。ゴールドカップは評価が高い。臨市第一高校も認めてる。ただ...

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