第35章 彼女は少し変わったようだ

西川安菜の頭には、有岡里穂レーダーでも搭載されているんじゃないかと思うことがある。里穂が半径200メートル以内に現れた瞬間、必ず真っ先に察知するのだ。

安菜が立ち上がると、椅子が自然に後ろへ引かれ、ギギッと耳障りな音がリビングに響いた。続いて、やけに親しげな声が飛んでくる。

「里穂さん、今日の試験どうだった? 手応えあった? 優勝いけそう? 出てくるの待って探したんだけど、行ったらもう提出してたって聞いて……帰っちゃったのかと思ったよ」

有岡里穂は知っている。本当の硝煙は、こういう――日常会話みたいに平らな言葉の隙間に漂うものだ。

前の人生で散々味わった。だから、こんな言葉を「心配し...

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