第39章 何が好き?

ドクン、ドクン、ドクン——心臓の鼓動が、太鼓みたいに胸の内側を叩いていた。

有岡里穂はぱちぱちと瞬きをして、ようやく自分がどれだけ取り乱していたのかを自覚する。

彼女は慌てて阿部蓮太郎の腕の中から身を離し、頬を赤くしながら小さな声で言った。

「……すみません」

それから、少し離れたところで弾け続ける花火を指さす。

「急に上がったから、びっくりして……気づかなくて……」

言葉は尻すぼみになっていき、伏せた目がこっそりと阿部蓮太郎を窺った。

まだ心臓がうるさいくらいに跳ねている。花火に驚いたせいなのか、それとも——阿部蓮太郎のせいなのか、自分でも判然としない。

「……あ、阿部さん...

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