第13章 なぜなら、私はあなたを愛していないから

「なぜ?まだ藤原家を恐れているの?海外に行けば、彼らが追いかけてくるとでも?」平井一郎は興奮して言った。

林田浅子は淡々と首を振った。「藤原家が手強いのは確かだけど、それが主な理由じゃないわ。一郎、私はあなたを愛していないの。私たちが逃したものは逃したまま。逃してしまった感情は、いつまでも新鮮で熱烈なままではいられないわ、わかる?」

平井一郎は林田浅子が自分を愛していないと言うとは思ってもみなかった。完全に呆然として、その場に立ち尽くした。

「君は...僕を愛していない?」

「そうよ」林田浅子は申し訳なさそうに唇を引き結んだ。

「もし私があなたを愛しているなら、迷わずあなたと駆け落...

ログインして続きを読む