第102章 鈴木お嬢さん

「お話ししたいことがございますの。中に招き入れていただけないかしら? まさか、高貴なる公爵殿下がレディの頼みを無下になさることはありませんわよね?」

桜は甘ったるい声で囁き、自身の魅力でコフィロの心を動かそうと試みた。

コフィロは夜空の月を指差してから、自身の頭に載せたスカルキャップをトントンと叩いた。そして、極めて丁寧なお辞儀をしてから桜に告げる。

「喜んでご招待したいところですが、いかんせん夜が更けすぎました。こんな真夜中に、見知らぬ男女が二人きりで過ごすのは感心しませんね。あなたの美しいお姉さんに誤解されるのも本意ではありませんし」

その口調は優雅そのものだったが、言葉の端々に...

ログインして続きを読む