第119章 遅れてきた母の愛

「なぜあいつがそんなことをしたのか?おそらく、私と妻の会話を偶然耳にしたからだろう。あの頃、林田樺の成績は非常に優秀で、S市大学の附属高校への推薦入学が決まっていた。だから、私たち夫婦は林田樺と一緒にS市へ移り、付き添うことにしたんだ」

「海市に残す大半の事業は、プロの経営者に任せるつもりだった。そして、林田樺の権利を確実に守るために、前もって遺言書も作成しておいたのだ。そのことを林田達也が知ったからこそ、あいつは林田樺に手を下したのだろう」

「当時、私とお前の祖母はもう若くはなかった。もともと林田樺を授かったのは三十代も半ばを過ぎてからのことだ。もし私に万が一のことがあれば、養子をとる...

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