第66章 裏切り者

「なんだと? 帳簿の資金が足りない? どうしてそうなるんだ。財務が予算を組んだ時は、十分な額だったはずだろう」

葉氏グループのトップである葉山遠望は、信じられないといった様子で声を荒らげた。

今回、藤原グループと恒基バイオの提携において、葉山グループが甘い汁を吸えたのは、ひとえに桜の顔利きのおかげであった。工場の調達は早くから決まっており、恒基バイオが指定する医薬品製造設備の買い付けは葉山グループが担っていた。すでに初期の設備代金は支払い済みで、設備自体も続々と工場に搬入されている。残金の支払い期限が目前に迫る中、財務部から突然、帳簿から三億が消えているという報告を受けたのだ。

「本当...

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