第69章 二人のパパ

桜からの電話を切り、藤原南はシャツのボタンを二つ外して襟元を緩めた。最近の彼は本当に苛立っていた。葉山家の突然の没落により、以前恒基バイオと結んだ契約の納期に間に合わなくなってしまったのだ。現在、恒基バイオからは一兆二千億円にも上る損害賠償を求める訴状が届いている。藤原家が全財産を投げ打ったところで、到底返済できる額ではなかった。

そんな窮地に立たされているというのに、桜はあろうことか葉山明を救ってほしいと電話をかけてきたのだ。自分の身を守るだけで精一杯の状況で、どうやって葉山明を救えというのか。それに、葉山明が犯した罪は非人道的で極悪非道そのものだ。仮に力があったとしても、あんな男を助け...

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