第82章 あなたと呼んで

「電気、消してくれない?」水原寧々は必死に理性を保ちながら、声を潜めて言った。

「『あなた』と呼んでみろ」林田祐一は甘く誘うように囁いた。

水原寧々は、どうしてもその言葉を口にすることができなかった。これまで彼のことを『林田社長』と呼んだり、『林田祐一』とフルネームで呼んだり、さらには『おじさん』と呼んだことさえあった。しかし、『あなた』という言葉が、まるで焼け火箸のように唇を焼き、どうしても声に出せないのだ。林田祐一の舌が蕾の周りで円を描くように這うと、水原寧々はたまらず甘い喘ぎ声を漏らした。

「電気……消して……」水原寧々の声には、微かな哀願が混じっていた。

「さっき『あなた』と...

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