第96章 お前、私の孫を奪ったな!

林田は、小林の差し出す手をそっと振り払い、マイクの前に立った。歳月がその顔に深い皺を刻み込んでなお、背筋はピンと伸び、纏う威厳は微塵も揺らいでいない。

「まずは、この林田国志の80歳の祝いに駆けつけてくれた皆の衆に、心から礼を言おう。わしが生涯で愛した女はただ一人、妻だけだ。その妻も30年前に先立ち、わしに一人の愛らしい娘を遺してくれた。だが哀しいかな、娘は生まれつき体が弱く、子をなすことができない。わしにもいずれお迎えが来るだろうが、娘が天涯孤独の身となるのだけは忍びない。そこでだ、娘のために跡取りを一人、養女として迎えることにした」

朗々と響く力強い声が、広大な宴会場の隅々にまで行き...

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