第36章

瑶子が珍しく賢明な判断をしたな、と私は思わず彼女の頭を撫でながら褒めた「なかなかやるじゃないか。今回は冷静に分析できたんだな。瑶子の言う通り、奴らが私たちを殺すつもりなら、出会った時点で既に殺されてるはずだ」

「気づいてないのか?私が一声怒鳴っただけで逃げ出したんだぞ。確かに後ろめたさもあっただろうが、むしろ奴らも私たちを恐れてるんじゃないかと思うんだ」

林田琳はさっきの衝撃から立ち直り、凸凹した壁に無造作に寄りかかりながら言った「彼らが私たちを恐れているのは、実は簡単に理解できるわ。私たちは彼らにとって侵入者、それも見知らぬ侵入者なのよ。考えてみて、もしあなたの国がこんな見知らぬ集団に...

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